犬の腎臓の数値が高い原因は?症状、早期発見のポイントと漢方の考え方を解説

「動物病院の血液検査で、腎臓の数値が高いと言われた」——そんな経験をした飼い主さんも多いのではないでしょうか。急に言われると、何が起きているのか分からず、不安になってしまいますよね。
腎臓は「沈黙の臓器」とも呼ばれ、機能が大きく低下するまで目立った症状が出にくいという特徴があります。だからこそ、数値の意味や、日頃から気をつけたいサインを知っておくことが、愛犬の健康を守るための第一歩になります。
この記事では、犬の腎臓の数値が高くなる原因や症状、食事管理のポイントについて、漢方専門の薬剤師の視点から分かりやすく解説します。大切な家族であるワンちゃんが、これからも元気に過ごせるよう、ぜひ最後までお読みください。
1. 犬の腎臓の数値が高いとは?基礎知識
腎臓は、血液中の老廃物を濾過し、尿として体外に排出する役割を担う、いわば体内の「浄化フィルター」のような臓器です。水分量や電解質のバランスを調整する働きもあり、犬の健康を維持する上で欠かせない存在です。
血液検査では、主に以下のような項目で腎臓の状態を確認します。
- BUN(尿素窒素):タンパク質が分解される過程でできる老廃物の数値
- CRE(クレアチニン):筋肉の代謝によって生じる老廃物の数値
- SDMA:比較的新しい検査項目で、従来の検査よりも早い段階で腎機能の低下を捉えられる可能性があるとされています
これらの数値が高い場合、腎臓での濾過がうまくいっていない可能性を示しますが、脱水や検査前の食事内容など、一時的な要因で数値が変動することもあります。数値だけで自己判断せず、必ず獣医師の診断を受けることが大切です。
腎臓は一度ダメージを受けると回復しにくい臓器
腎臓の組織は、一度大きなダメージを受けると、もとの状態に完全に回復することが難しいとされています。そのため、腎臓病の治療は「機能を回復させる」というよりも、「これ以上の悪化を防ぎ、残された機能をできるだけ長く保つ」ことを目指すのが基本的な考え方です。だからこそ、数値が悪化する前の早期発見と、日々の生活習慣によるケアが重要な意味を持ちます。
2. 腎臓の数値が高くなる主な原因
慢性腎臓病
慢性腎臓病は、時間をかけて少しずつ腎機能が低下していく病気です。加齢による自然な変化のほか、遺伝的な要因や、長期間続いた歯周病・慢性的な感染症が腎臓に負担をかけているケースもあります。進行がゆるやかであるため、初期段階では気づきにくいのが特徴です。
犬種によっても、腎臓病になりやすい傾向が異なるとされています。特定の犬種では若いうちから腎臓の機能に注意が必要な場合もあるため、愛犬の犬種の特徴を知っておくことも、早期発見のヒントになります。気になる場合は、かかりつけの獣医師に相談してみるとよいでしょう。
急性腎臓病
急性腎臓病は、短期間で腎機能が急激に低下する状態です。中毒性のある食べ物(ぶどうや玉ねぎなど)や薬剤の誤飲、重度の脱水、尿路の閉塞などが原因となることがあります。急性期には嘔吐や食欲不振などの症状が急に現れることが多く、緊急性の高い状態であるため、異変を感じたら速やかに動物病院を受診しましょう。
一時的に数値が上昇するケース
検査前の脱水状態や、激しい運動の直後、特定の食事内容などによって、一時的に数値が高く出ることもあります。数値が高いという結果だけで過度に不安にならず、必要に応じて再検査や追加の検査を受けながら、獣医師とともに状態を確認していくことが大切です。
3. 見逃さないで!腎臓の数値が高い時のサイン
腎臓病は初期には症状が分かりにくいものの、以下のようなサインが見られることがあります。
- 水を飲む量が増えた(多飲)
- おしっこの回数や量が増えた(多尿)
- 食欲にムラがある、活動量が低下した
- 毛艶が悪くなった、体重が徐々に減ってきた
- 進行すると、嘔吐や口臭、口内の潰瘍などが見られることもあります
これらの変化は、加齢によるものと見分けがつきにくいこともあります。「なんとなく元気がない」「以前より水をよく飲むようになった」といった小さな変化に気づいたら、自己判断せず、早めに動物病院で相談することをおすすめします。
4. 動物病院で行われる検査
血液検査
BUNやCRE、SDMAなどの数値を確認し、腎機能の状態を評価します。検査結果は、脱水状態や直前の食事内容にも影響を受けることがあるため、獣医師が総合的に判断します。
尿検査
尿の比重(濃縮力)や、尿中のタンパク質の有無を確認します。血液検査だけでは分からない腎臓の変化を、尿検査によって早期に発見できることもあります。
画像検査・血圧測定
超音波検査やX線検査により、腎臓の大きさや形状、腫瘍や結石の有無を確認することがあります。また、高血圧は腎臓に負担をかける要因のひとつであるため、血圧測定が行われることもあります。
5. 食事管理で気をつけたいポイント
腎臓の数値が高いと診断された場合、食事管理は治療の重要な柱のひとつです。ただし、自己判断で食事内容を大きく変えるのではなく、必ず獣医師の指導のもとで進めることが大切です。
療法食の活用
腎臓病用の療法食は、リンやタンパク質の含有量が調整されており、腎臓への負担を抑えるよう設計されています。愛犬の状態(ステージ)によって適した療法食が異なるため、獣医師と相談しながら選びましょう。
水分摂取を意識する
腎臓の数値が高い犬は脱水しやすい傾向があるため、新鮮な水をいつでも飲める環境を整えることが大切です。ウェットフードを活用して食事から水分を補うのもひとつの方法です。
おやつの与え方に注意する
飼い主が良かれと思って与えるおやつが、腎臓に負担をかける成分を含んでいる場合もあります。おやつを与える際は、療法食の一部を活用するか、獣医師に相談して安全性を確認したものを選びましょう。
6. 日常生活でできるケア
食事管理に加えて、日常生活の中でも腎臓に配慮したケアを取り入れることができます。
- 新鮮な水をいつでも飲める環境を複数箇所に用意する
- 過度な運動や環境の変化を避け、穏やかな生活リズムを保つ
- ストレスを軽減できる、安心して過ごせる環境を整える
- 定期的な血液検査で、数値の変化を継続的に確認する
過度な運動や急激な環境の変化は、犬にとって精神的なストレスとなり、血圧の上昇や自律神経の乱れを通じて、腎臓に間接的な負担をかける可能性があるといわれています。愛犬の年齢や体力に合わせた無理のない散歩を心がけ、興奮しすぎない穏やかな遊び方を意識するとともに、安心して休める場所を用意してあげることも、日々のケアのひとつです。
腎臓病は進行性であることが多いため、西洋医学の治療は「完治」ではなく「進行を緩やかにする」ことを目指すのが基本的な考え方です。日々の小さなケアの積み重ねが、愛犬の生活の質を保つことにつながります。
7. 漢方の視点から考える犬の腎臓病
東洋医学には、体の働きを「肝・心・脾・肺・腎」という5つのグループに分けて考える「五臓」という考え方があります。
この中の「腎(じん)」は、西洋医学でいう腎臓そのものだけを指す言葉ではありません。東洋医学では、成長や発育、老化、生殖、水分代謝、排尿、骨や足腰、耳の働きなど、生命活動の土台となる幅広い機能を「腎」が担っていると考えます。
東洋医学の「腎」は年齢とともに弱りやすい
東洋医学では、腎には生まれ持った生命力の源である「精(せい)」が蓄えられていると考えます。
この「腎の精」は成長や発育を支える一方で、年齢を重ねるにつれて少しずつ減少していくとされています。そのため、シニア期になると「腎」の働きが衰えた「腎虚(じんきょ)」と呼ばれる状態が現れやすくなります。
犬の場合も、年齢とともに、
- おしっこの回数が増える
- 尿を我慢しにくくなる、尿漏れがみられる
- 足腰が弱くなる
- 後ろ足に力が入りにくくなる
- 耳が聞こえにくくなる
- 毛艶が低下する
- 元気や活動量が低下する
- 夜鳴きや昼夜逆転など、認知機能の衰えを思わせる変化がみられる
といった変化が現れることがあります。
東洋医学では、これらをそれぞれ別々の問題として捉えるだけではなく、加齢に伴う「腎」の衰えが共通して関係している可能性があると考えるのが特徴です。
また、東洋医学では「腎は耳に開竅する」「腎は骨を主る」と考えられており、聴力や骨・足腰の働きとも深い関係があるとされています。目の働きは主に「肝」と関係すると考えますが、「肝」と「腎」は互いに影響し合うため、加齢による肝腎の衰えに伴って、目の働きにも変化が現れることがあると考えます。
腎臓病だけが「腎」の問題ではありません
ここで注意したいのは、東洋医学でいう「腎」と、西洋医学でいう「腎臓」は同じものではないということです。
慢性腎臓病など腎臓そのものの病気は、東洋医学的に「腎」の状態を考える重要な要素のひとつですが、「腎虚=腎臓病」という意味ではありません。
東洋医学では、たとえば次のような状態で「腎」の衰えが関係していないかを考えることがあります。
- 加齢に伴う体力・活動量の低下
- 頻尿や尿漏れなどの排尿トラブル
- 足腰や後ろ足の衰え
- 骨や関節の弱り
- 聴力の低下
- シニア期にみられる認知機能の変化
- 加齢に伴う毛艶や被毛の変化
- 慢性的な腎機能の低下
ただし、これらの症状には腎臓病以外にもさまざまな原因があります。特に、水を飲む量や尿量の増加、食欲低下、体重減少、嘔吐などがみられる場合には、東洋医学的な体質だけで判断せず、まず動物病院で血液検査や尿検査など必要な検査を受けることが大切です。
西洋医学で現在の腎臓の状態を正確に把握しながら、東洋医学では「腎」を中心に年齢や体質、足腰、排尿、食欲、元気など愛犬の体全体を見ていく。このように西洋医学と東洋医学をそれぞれの特徴を生かしながら考えることが、シニア犬の健康管理では大切です。
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8. 足腰・腎の元気をサポートするお勧めの和漢サプリメント「もれピタサプリ」
食事管理や日常生活の工夫に加えて、和漢素材のサプリメントを取り入れるという方法もあります。漢方の考え方では、加齢による腎の働きの低下は、足腰の弱りとも深く関係していると捉えます。人間の加齢に伴う体調管理に漢方の知恵が活用されているのと同じように、愛犬にも和漢の力を応用したケアが可能です。
明治42年創業、赤尾漢方薬局が開発した「わんぽうやく」シリーズ
当店赤尾漢方薬局は、1909年(明治42年)創業、100年以上の歴史を持つ老舗の漢方薬局です。長年の漢方臨床経験をもとに、4代目漢方薬剤師が愛犬と暮らすご家族のために独自開発したのが、犬用和漢サプリメント「わんぽうやく」シリーズです。
「尿漏れが気になる」「おしっこを我慢できなくなってきた」「足腰の弱りが気になる」——そんなワンちゃんには「もれピタサプリ」がおすすめです。愛犬の足腰や腎の働きを元気にすることを目的に、山薬や山茱萸、桑ひょう蛸など、8種類の和漢植物をバランス良く配合しており、内側から愛犬の元気をサポートします。
使用方法はとても簡単で、1日2回、付属のスプーンでいつものご飯にふりかけるだけ。和漢素材と鹿肉のみを使用し、添加物は一切使用していないため、毎日安心して続けていただけます。「食いつきが心配」という方にもご安心いただけるよう、香り高い丹波産鹿肉を使用したタイプもご用意しています。
商品の詳細は、以下のページからご確認いただけます。
※サプリメントは栄養補助食品であり、治療を目的としたものではありません。腎臓病の診断・治療を受けている場合は、サプリメントの使用について必ず獣医師にご相談ください。
9. 迷ったら薬剤師にご相談ください
犬の腎臓病では、早期発見と適切な治療、食事管理を行いながら、日々の生活の中で体調を整えていくことが大切です。腎臓の数値が高いと言われた場合には、まず獣医師の診察を受け、現在の腎臓の状態を正しく把握しましょう。
一方、漢方では、腎臓という臓器だけを見るのではなく、東洋医学でいう「腎」の働きを含めて、体全体のバランスを考えていきます。
東洋医学では「腎」は、排尿や水分代謝だけでなく、成長・発育・老化、骨や足腰、聴力、生命力などにも深く関わると考えられています。そのため、年齢とともに弱りやすい「腎」を補い、その働きを支える「補腎(ほじん)」は、漢方におけるシニア期の体調管理の大切な考え方のひとつです。
「腎」を整えることは、腎臓だけに着目するのではなく、尿漏れや頻尿、足腰の衰え、聴力や認知機能など、加齢に伴って現れやすいさまざまな変化を、体全体から考えていくことにつながります。
西洋医学では、血液検査や尿検査によって腎機能を評価し、必要に応じて食事療法や薬物療法、点滴などを行います。一方、漢方には、西洋医学には直接対応する概念のない「補腎」という考え方があります。
どちらか一方を選ぶのではなく、西洋医学で病気の状態を正確に把握しながら、漢方では愛犬の年齢や体質、足腰、排尿、食欲、元気などを含めて全身を見ていく。それぞれの特徴を生かしながら健康管理を行うことが大切だと私たちは考えています。
「最近おしっこの様子が変わってきた」「足腰が弱ってきた」「年齢とともに元気がなくなってきた」「漢方ではどのように考えるのか知りたい」など、気になることがございましたら、ぜひ漢方の専門家にご相談ください。
愛犬一頭一頭の年齢や体質、現在の状態を確認しながら、毎日の健康管理について一緒に考えていきます。
もれピタサプリの商品ページ・わんぽうやく相談はこちら
【監修者プロフィール】
株式会社ヘルシーライフ
代表取締役 赤尾 征樹(薬剤師)
創業明治42年、100年以上続く老舗「赤尾漢方薬局」4代目として、約20年にわたり漢方相談に携わる。長年培った漢方理論に基づき、一人ひとりの体質や症状に合わせた漢方相談を行っている。
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