【湿度対策】舌が白いのはなぜ?漢方的視点で選ぶ最適な胃腸薬ガイド

6月、梅雨入りの季節。暑さと共に湿度が高まり、体は湿気の影響を受けやすくなります。この季節、「なんとなく体が重い」「胃腸がすっきりしない」「口の中が粘つく」「舌の表面が白く見える」こうした症状を感じたことはありませんか?
漢方では体全体の健康状態を舌から診る方法を用います。胃腸を痛めやすいこの季節に、舌はなぜ白くなるのか?舌から体の状態をセルフチェックするポイント、そしてこの梅雨におススメの漢方薬を漢方薬剤師がわかりやすく説明いたします。
舌はカラダの状態をうつす鏡
東洋医学には、舌の状態から健康状態を診る「舌診」という診察方法があります。
舌には沢山の血管が集まり、全身を流れる経絡によって体の各臓器と結びついているため、現在のように血液検査や画像スキャンができなかった数千年前から重要視されていました。
舌の状態は、食事・睡眠・運動・ストレス・外的環境からのダメージなどを比較的短期間に表します。毎朝、鏡を見る時に日頃から舌をチェックする癖をつけておくと、「昨日飲みすぎたから、舌もむくんだ気がする」「油ものが胃にきてるなぁ…」など、日々の変化が自分の体にどの様な影響をどんな行動の変化が舌の状態に影響しているのかを確認することができます。
大切なのは他人と比べることではなく、昨日や先週の自分と比べること。毎日1分でも続けると、未病の予防や体調管理に役立ちます。
舌セルフチェックをやってみよう
舌を見るタイミングは、朝の歯みがき前の空腹時など、毎日同じ時間がおすすめです。
チェックするポイントは次の通りです。
- 舌の色
- 舌の形・質感
- 舌苔の厚さ
- 乾燥しているか、湿っているか
- ふちの歯あと
- 舌の裏の静脈
健康な舌とは、淡紅(ピンク)色で、程よい厚さと大きさ、苔はぼんやり透けて舌全体が見えるくらいの薄い白い苔が左右均等にあり、適度に湿っている、ふっくらと柔らかく滑らかに動く舌です。ここでは、代表的な舌の状態をご紹介します。
舌の色
- 淡白舌(白っぽい):冷えている、血液が少ない、疲れやすい、元気がない
- 紅舌(赤っぽい):熱がこもっている、炎症がある
- 紫舌(紫、青紫):冷えや熱により、気血が滞っている
舌の形・質感
- 痩薄(うすっぺらい):血液や潤いが足りない、気力がない
- 胖大(むくんでいる):胃腸の働きが低下して、体に余分な水分が溜まっている
- 歯痕(舌のふちに歯のあとがある):水分代謝の低下、胃腸が疲れやすい
- 裂紋(舌面のきれつがある):体液の潤いや水分不足、血液や栄養不足
- 光滑(鏡のようにテカテカする):脱水状態、気力も潤いも不足
舌の苔
- 無苔、地図状苔:疲れやすく、体液が消耗し不足している
- 白苔:体表が冷えている
- 黄苔:消化管や内臓に熱がこもっている
- 膩苔:消化機能の低下により胃に余分な水分が滞っている
他にも、舌下静脈が太く、怒張したり蛇行している時は、血液循環が悪く老廃物が溜まりやすい状態であることがわかります。
白い舌から考える体質の傾向
白い舌苔がぼんやり透けて舌全体が見えるくらいの薄さが左右均等についている場合で、胃腸の不快感もなく、食欲・睡眠・便通が保たれているなら、正常の範囲内であることが多いです。
しかし、舌苔が分厚く、口の中がねばつき、胃もたれやお腹の張り、軟便がある時は、漢方では湿が体内に溜まっている状態と考えます。さらに、舌がぼってり大きく、ふちに歯形がついている方は、胃腸機能の低下によって水分代謝が悪くなり、消化管に余分な水分が溜まっているサインです。
この舌のタイプになる方は梅雨時期に多く、冷たい物の食べ過ぎ、水の飲みすぎ、甘いもの・脂っこいものが好き、胃もたれをしやすく、むくみ、体が重だるい、下痢などになりやすい傾向があります。
胃に負担をかけないよう、温かい汁物や消化のよい食事を意識し、夜遅い食事を控えることが大切です。また、冷房でお腹や首、手足を冷やさないようにしましょう。
漢方でみる「湿」と胃腸の関係
漢方では、梅雨どきの不調は「湿」と関係していると考えます。
湿とは、体に余分な水分がたまり、巡りが悪くなった状態のことです。外の湿度が高くなると、体の中の水分代謝も滞りやすくなります。
とくに胃腸の働きが弱い方は、湿の影響を受けやすく、次のような症状が出やすくなります。
- 胃もたれ
- 食欲不振
- 消化不良
- お腹の張り
- 軟便、下痢
- 口の中のねばつき
- 舌苔が厚く白い
- 体が重だるい
とくに、「お腹がギューッと痛い」「便が細くてすっきりしない」「水分を少し取っただけでお腹が痛くなる」こうした症状がある場合は、湿と冷えが重なっている可能性があります。
梅雨の胃腸トラブルにおススメの漢方薬
白い舌苔があり、梅雨時に胃腸症状が出る方に使われる代表的な漢方薬を紹介します。
平胃散(へいいさん)
平胃散は、湿気がたまった胃腸に使われることが多い漢方薬です。
胃がもたれる、膨満感、ゲップが出る、消化不良、軟便ですっきり出ない、便が細い、体が重だるい、といった方に向いています。
胃腸の余分な湿をさばき、消化機能を整えます。
人参湯(にんじんとう)
人参湯は、お腹の冷えと湿が重なった胃腸トラブルに使われる漢方薬です。
つばが良く出る、尿が薄く量が多い、お腹がギューッと痛くなり、温めると楽になる、冷たい飲み物のあとに下痢しやすい方に向いています。
消化管を温め、胃腸の働きを助けて、胃痛や腹痛を改善します。
胃苓湯(いれいとう)
胃苓湯は、平胃散に五苓散が加わった漢方薬で、胃腸を含む全体的な水分代謝が悪くなっている時に使用します。
水のようなシャーッという下痢、口の渇き、尿が少ない、むくみやすいといった症状がある方に向いています。
胃腸が弱り、水をうまくさばけない状態におすすめです。
藿香正気散(かっこうしょうきさん)
藿香正気散は、胃腸症状に加えて風邪のような症状が重なる時に使われる漢方薬です。
微熱、アレルギー性鼻炎、副鼻腔炎、下痢、のどの違和感、全身のだるさ、気分の重さがある時に使用する処方です。
梅雨の湿気に冷房などの冷えが重なり、胃腸と体表面の不調が同時に出る方に向いています。
五苓散(ごれいさん)
五苓散は、全身の水の巡りが悪い時に知られる漢方薬です。
のどが渇くのに飲むと気持ち悪い、頭痛、むくみ、尿が少ないまたは頻尿、体の重だるさがある方に使われることがあります。
雨の日の前など気圧変化で悪化する頭痛などは、水分の滞りと自律神経の乱れが関係している可能性があります。自律神経の乱れが強い場合には、小柴胡湯を加えた柴苓湯を使用することもあります。
ただし、腹痛や下痢でも、感染症による下痢の場合は止めてはいけないケースもあります。発熱がある、肛門が熱い、便の匂いが強いなどの場合には、これらの漢方薬はお勧め出来ません。そのような場合には、病院を受診しましょう。
ジメジメした季節を乗り越える!養生法
梅雨の湿気対策で大切なのは、冷えの防御と胃腸を弱らせる生活習慣の改善です。
冷たい水、清涼飲料水、アイス、脂っこい食事を続けていると、湿と冷えが重なり胃腸のはたらきが低下してしまいます。
おすすめは、次のような養生です。普段から胃腸を労わる癖をつけましょう。
- 朝は温かい汁物をとる
- 冷たい飲み物、食べ物、果物を控える
- 寝る3時間前の食事はさける
- 夜更かしせず、12時前には就寝する
- 甘いものや脂っこいものを控えめにする
- 手足、首肩、お腹を冷やさない
- 湯船につかって巡りを整える
- 少し汗ばむ程度に歩く
- ゆっくりとよく噛む
また、白い舌苔があるからといって、ゴシゴシ力まかせにせず優しく舌磨きしましょう。舌の粘膜はデリケートなので、傷つけると乾燥して口臭が強まることもあります。
迷ったら薬剤師にご相談ください
舌は、毎日見ることができる健康のバロメーターです。
「舌が白いけれど原因がわからない」
「この胃腸薬で合っているの?」
「梅雨になると毎年調子が悪い」
そんな悩みがある方は、ぜひ漢方専門薬局の薬剤師へ相談ください。
同じ白い舌でも、その方の体質・体力はもちろん、湿が多い方、冷えが強い方、胃腸の力が落ちている方、何に焦点をおくべきかで選ぶ漢方薬が変わってきます。
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